極端すぎる暫定税率分の議論


ガソリン税などの暫定税率の廃止を主張する民主党は、その根拠の1つとして、暫定といいながら30年もの長い間続けてきた上に、なおも10年間延長しようとしていることが問題だとしている。


確かに、暫定などという曖昧な言葉で続けてきたことや、これからさらに10年も暫定を続けようとしていることは問題だと思う。しかし、この言葉の問題は、本来ならば本則を増税すべきだったとは思うけれど、自民党政権がほぼずっと続いてきたことによる「忘れ物」ととらえれば議論の本題ではない。


本質的な問題は、本則であろうが暫定であろうが、「道路予算がどれだけ必要なのか」ということだろう。もちろんその数字の前提として「真に必要な道路整備」がどれだけあるのかについて明確にしなくてならないが、それは別の機会にしたい。


ともかく、ガソリンならたまたま28.7円であるにすぎない本則の税率なのに、その分だけで十分だという主張に全く納得させられない。


さらに、この税率は数十年前に決められたものだということも、納得させられない大きな理由だ。正確な時期を確認してみよう。


(こちらを開いてください)
http://www.motorlife.jp/tax3_2.html


このページの図でもわかるように、ガソリン税揮発油税地方道路税)、軽油引取税ともに'64年に本則税率そのものの増税が止まっている。


その後、暫定税率が加算されたのは、ガソリンは'74年、軽油は’76年だ。
両方ともそれ以降、段階的に引き上げられて現在に至っている。


つまり、'64年という40年以上も昔に決めて、30年以上前に「それでは足りない」として引き上げるまでの税率を基準にして、それ以上の部分である暫定分の廃止を主張しているわけだ。


そんな昔の税率を基準にして、現在の道路整備に必要な財源を議論することが、果たして適切なのだろうか。


つまるところ、民主党は、単に本則税率が妥当との主張をするのみで、必要な道路整備計画はどれだけあるのか、という点は十分に思慮ぜず(民主党は十分といっているが大いに疑問)、まずは予算ありきで、ともかくその枠の中で道路整備を行おうとしている。これは、「必要な」の議論にはあまりにも無関心なのではないかと言わざるを得ない。


それに対して自民党などは、信頼されない「必要な」を根拠とする道路整備費を積み上げて、予算を確保しなくてはならないとする主張の一点張りだ。


民主党の主張にしても、両党の主張の差にしても、なぜこれほど両極端なのか。
信頼される「必要な」を根拠とする整備費用がいくらなのか、全く見えてこない。
日本の財政状況を考えれば、ある程度予算の縮小を重視した中庸な政策もやむを得ない。
とにかく、もっと質の高い納得の行く議論をお願いしたい。


さもなくば、両者の主張の理の部分を取り持ちつつ、超発展的な道路政策である道路構造改革を取り入れてもらいたい。



そのほか参考ページ

http://www.jama.or.jp/lib/jamagazine/200509/04_t1.html
http://www.jama.or.jp/lib/jamagazine/200509/09.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%93%E8%B7%AF%E7%89%B9%E5%AE%9A%E8%B2%A1%E6%BA%90
国交省 Q : 道路特定財源とはどのようなものですか?
http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-funds/sp-funds/sp-funds00.html