目に見える形の優先権標識が必要。

道交法改正によって加わった環状交差点に関連する部分は、施行前に改正しなくてはならなりません。その最大の理由ですが、やはりそれは、譲れ標識の無いまま強引にラウンドアバウトを導入することは問題であり、早急に譲れを法制化しなくてはならない。ということです。


今回、交通規制課の話を聞いて改めて考えさせられたことがあります。

日本では、安全で円滑な道路交通社会を営むためにとても重要で、本来は厳重に取り扱わなくてはならない優先権という概念があまりにも軽んじられている。ということです。

諸外国の道路標識のカテゴリー分けでは、「STOP」や「譲れ」などが「優先権標識」として他の指示標識から独立していて、重要性の高さを示しています。しかし、日本では数多い規制標識に埋もれてしまっています。このことからもわかると思います。



さて、愛知県ラウンドアバウト公開講座では、質疑応答の時間がありましたので、以下の質問をさせてもらいました。

1:譲れ標識がが必要ではないか?

2:譲れ標識の議論はされているのか?


規制課からの回答は次のとおりです。


1:ラウンドアバウトの標識がある時は、徐行義務や環道優先が道交法に明確に書いてあるので、標識の意味をあらゆる機会で広報してゆき、確実に理解されれば運用可能ではないか。

2:議論されているかは警察庁に聞いてみないとわからない。


1の回答は、警視庁の考え方とみなしてよいと思いますが、確かに、文字通りの「法」的に論理的な問題は無いのかもしれません。しかし、実際のところ重大な問題があります。


警察庁の考え方とその問題をみてみましょう。


ある環状の交差点に、公安委員会が環状交差点標識を設置する。
→そこは環状交差点であると指定されたことになり、右回りに通行すべきことがわかる。


環状交差点標識の図柄と意味については施行までに整備される予定ですが、おそらく、規制標識「指定方向外進行禁止」の一種として右のような標識を定めるものと推測されます。以降<青丸>と表記。

ここまではいいでしょう。問題はこの後です。


さらに、環状交差点ということは、環道側の進行を妨害してはならない(=譲れ)。


たとえ法令の条文で書かれていても、見えている標識は規制標識「指定方向外進行禁止」でしかないのですから連想せよと言っているようなものです。見て取れる標識の表す意味と、そこに含まれる規則の内容があまりにも遠回しすぎるのです。


重要な事なので何度も書きますが、優先権は道路交通の安全と円滑のため、そして、それを目的とする道路交通法において、最も厳重で根幹的な規則なのです。


規則の内容と、見て取れる標識の表す意味、これらが直接結びついている優先権標識を、目に見えるかたちで存在させることが絶対に必要です。


図式化すると、

 <青丸>= 環状交差点につき右回りで通行せよ。
   無し  = 環道側の進行を妨害してはならない。

ではなく、


 <青丸>= 環状交差点につき右回りで通行せよ。
 <譲れ>= 譲れ   


と、それぞれに独立した意味を持つ両方の標識を掲示すべきということです。f:id:michinaoshi:20210606221922p:plain


道路交通法に優先権という言葉すら使われていないほど、優先権についての意識が低い日本では、前者で問題無いと思われがちですが、世界の常識からかけ離れていることをよく認識して早急に譲れの規則と標識を整備すべきです。