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道路構造改革  

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ラウンドアバウト入口での「ゆずれ標識▽」と「ラウンドアバウト標識◯」の設置状況まとめ

https://twitter.com/mur130/status/979019059369922560

 

 

 

ラウンドアバウトでの我が国特有の運転行動と停止線の未洗練について

日本では、ラウンドアバウトの横断歩道の停止線で無意味に一時停止し、流れを乱して交通容量を低下させる運転者がいる。それはなぜ起こるのか?それに関連する問題について。

無信号十字交差点で、優先道路側の横断歩道手前の停止線で無意味に止まる人はいないが、非優先側では、きちんと止まる人、適当に徐行してもう少し先まで進んで止まる人など様々である。

 一般市民の中には、ラウンドアバウトの構成要素とその意味について明確に理解していない人もいるだろう。

 そのため、ラウンドアバウトの横断歩道の停止線で停止する人は、無信号十字交差点の非優先側の横断歩道手前の停止線や、同じく横断歩道無しの場合の停止線と同等と混同していると思われる。

 なぜこの混同が発生するのか。日本では、一時停止規制のある優先道路との境界など、必ず一時停止が必要な箇所と、横断歩道のように、必ずしも一時停止する必要のない箇所が同一の線で標示されていて線だけで判別できない。

 また、環道走行車両に対する優先関係を表す路面標示の線として、譲れ線(環道外縁の破線)が引かれているが法的根拠は無い。

 それどころか、道交法で「譲れ」が規定されていないため標識も法定の「譲れ」が無い。そのため、停止線のようにその直前で一旦停止する位置を示す意味もある譲れ線として認識されているかも疑問だ。*1

 結果、どの位置で譲ればよいのか不明確であり、その認識に個人差が生じている。横断歩道手前の停止線で停止義務があると認識する人がいるのも不思議ではない。

 また、停止線に止まらないまでも、譲れ線手前できちんと停止してギャップを待つのではなく、手前でだらだらと調整したり停止するなど、諸外国のラウンドアバウトでは見られない行動が見られる。 

 これは、環道のギャップを確認してから環道に入るまでの時間が無駄になり交通容量を低下させるだけでなく、環道走行側の運転手が進入側の譲る意志を明確に確認しづらく、万が一優先権を冒して環道に侵入されてきた場合に回避する判断が遅れるため衝突の危険が増加する。

 ある意味、日本の道交法や道路標識標示基準が未洗練で稚拙な現状で、環道走行中に徐行義務が課されているのは、皮肉にも合理的なのである。しかし、現実には非合理的な徐行義務は無視されているし、今後、幹線国道等でもラウンドアバウトを導入するためにも、譲れ線が確実に機能を果たすように関係法令を改正すべきである。

改正案は次回。

 

 

*1:道交法の言葉を使うと、進行妨害をしてはならない線、となるが、そんな言葉で広報されていない

目に見える形の優先権標識が必要。

道交法改正によって加わった環状交差点に関連する部分は、施行前に改正しなくてはならなりません。その最大の理由ですが、やはりそれは、譲れ標識の無いまま強引にラウンドアバウトを導入することは問題であり、早急に譲れを法制化しなくてはならない。ということです。


今回、交通規制課の話を聞いて改めて考えさせられたことがあります。

日本では、安全で円滑な道路交通社会を営むためにとても重要で、本来は厳重に取り扱わなくてはならない優先権という概念があまりにも軽んじられている。ということです。

諸外国の道路標識のカテゴリー分けでは、「STOP」や「譲れ」などが「優先権標識」として他の指示標識から独立していて、重要性の高さを示しています。しかし、日本では数多い規制標識に埋もれてしまっています。このことからもわかると思います。



さて、愛知県ラウンドアバウト公開講座では、質疑応答の時間がありましたので、以下の質問をさせてもらいました。

1:譲れ標識がが必要ではないか?

2:譲れ標識の議論はされているのか?


規制課からの回答は次のとおりです。


1:ラウンドアバウトの標識がある時は、徐行義務や環道優先が道交法に明確に書いてあるので、標識の意味をあらゆる機会で広報してゆき、確実に理解されれば運用可能ではないか。

2:議論されているかは警察庁に聞いてみないとわからない。


1の回答は、警視庁の考え方とみなしてよいと思いますが、確かに、文字通りの「法」的に論理的な問題は無いのかもしれません。しかし、実際のところ重大な問題があります。


警察庁の考え方とその問題をみてみましょう。


ある環状の交差点に、公安委員会が環状交差点標識を設置する。
→そこは環状交差点であると指定されたことになり、右回りに通行すべきことがわかる。


環状交差点標識の図柄と意味については施行までに整備される予定ですが、おそらく、規制標識「指定方向外進行禁止」の一種として右のような標識を定めるものと推測されます。以降<青丸>と表記。

ここまではいいでしょう。問題はこの後です。


さらに、環状交差点ということは、環道側の進行を妨害してはならない(=譲れ)。


たとえ法令の条文で書かれていても、見えている標識は規制標識「指定方向外進行禁止」でしかないのですから連想せよと言っているようなものです。見て取れる標識の表す意味と、そこに含まれる規則の内容があまりにも遠回しすぎるのです。


重要な事なので何度も書きますが、優先権は道路交通の安全と円滑のため、そして、それを目的とする道路交通法において、最も厳重で根幹的な規則なのです。


規則の内容と、見て取れる標識の表す意味、これらが直接結びついている優先権標識を、目に見えるかたちで存在させることが絶対に必要です。


図式化すると、

 <青丸>= 環状交差点につき右回りで通行せよ。
   無し  = 環道側の進行を妨害してはならない。

ではなく、


 <青丸>= 環状交差点につき右回りで通行せよ。
 <譲れ>= 譲れ   


と、それぞれに独立した意味を持つ両方の標識を掲示すべきということです。f:id:michinaoshi:20210606221922p:plain


道路交通法に優先権という言葉すら使われていないほど、優先権についての意識が低い日本では、前者で問題無いと思われがちですが、世界の常識からかけ離れていることをよく認識して早急に譲れの規則と標識を整備すべきです。

愛知県ラウンドアバウト公開講座に参加して

先日8日に、中部地方整備局、愛知県建設部、愛知県警本部の主催で開催された、愛知県ラウンドアバウト公開講座に参加しました。

主な参加者は自治体の道路整備の関係部署の方や建設コンサルタントの方だったようです。

遠方からの参加者もあるなど主催者の想像以上の関心度の高さだったようで、3〜400人は居たでしょうか、大きな会議室が満員御礼で熱気がありました。 


内容としては次の通りでした。

前半:名古屋大学大学院教授で日本のラウンドアバウト研究の第一人者である中村英樹教授による「ラウンドアバウトの概要と効果」の講義

後半:愛知県警警察本部 交通規制課による講義「道路交通法の一部改正 ラウンドアバウト(環状交差点)に関する規定の整備」


前半の中村先生の講義は、頭から尻尾までしっかり押さえてあり、さすがの内容でした。初学者にもわかりやすかったのではないでしょうか。自分としては異論反論を思い浮かべながらでしたが、それは追々書きたいと思います。


まずは、問題の多い後半の道交法関連です。


ラウンドアバウトが従来の交差点の概念から逸脱している。
十字路丁字路など2つ以上の道路の交わる部分を交差点という現行法の定義に合わない。
通行方法も通常の交差点通行の規則と乖離、規制標識も煩雑に。
          ↓
一つの交差点として「環状交差点」として規定する。


という、いわば戯言(我が国の道交法に欠陥がある故に展開される無駄な理論)を説明していましたが、それはどうでもいいでしょう。

肝心なのは、どう規定し、どのように規制し、標識をどうするか。です。


改正点などがパワーポイントで説明があり、その最後のまとめによると、


道交法の改正によって標識(で規定すること)と通行方法が定められ、法的な問題は無し。
※道路標識の図柄と意味、合図の時期と方法については法令を今後整備予定。


とのことですが、問題は無いというのは大きな誤りです。

どう考えても、この道交法の環状交差点関連部分は、施行前に改正が必要です。
(今はまだ公布済・未施行の状態)

次回から解説して行きます。

目標にすべきは交通事故そのもの抑制

日本では死者数の減少を目標にして事故対策をしてはならない:日本人の意識と交通事故:道路構造改革
のページのデータが少し古くなっています。
ここ数年で死亡事故の抑止は進んでいますが、相変わらず負傷者が異様に多い状況は変わっていません。


平成25年度版、交通安全白書(やはり交通安全化白書でないと違和感がありますが)から
欧米諸国の交通事故発生状況のデータを抜粋して、
人口あたりの交通事故死者数と負傷者数をグラフ化してみました。
死者数にばかり目が行っているため、負傷者数の方はありませんでした。

死者数は  人口10万人あたり
負傷者数は人口1000人あたり 


グラフで見ると、どの先進国も負傷者数は死者数と同じくらいか少なくなっています。
しかし日本だけは負傷者数の方がかなり多くなっているのがわかります。


日本がまず目指すのは、ドイツやイギリスのようなグラフの状態にするために、
負傷者数を3分の1〜半分まで減らことです。


死亡したかどうかは結果であり、救急体制など他の要因で減らすことができるため、交通事故の実態を表しているとは言いにくいです。そして死なくても体の障害や脳の高次機能障害など後遺症を抱える人が累積していきます。個人も大変ですが、社会的損失も甚大です。


負傷者数は交通事故の生の状態が反映されます。ハインリッヒの法則で言えば、死亡事故は多数のヒヤリハットと重大ではない事故の上にあるものです。やはり、目標にすべきなのは負傷を伴うような交通事故そのものであり、これを抜本的に減らすことに力を入れるよう頭を切り替える必要があります。

なぜ、「徐行」ではだめで、「譲れ」(=絶対的な徐行義務は課されていない)なのか。


衆議院内閣委員会も通過しました。せめて付帯決議にでも「譲れ」の検討をいれるよう意見を伝えたかったのですが間に合いませんでした。


さて本題。

市内のラウンドアバウトでも、環道への進入速度は20〜30km/hにはなります。

何とそれは違反行為となってしまうのです。ほとんど皆が違反者になります!  ザワザワ←してほしいところ。



本来は「徐行」までの減速を必ずしも必要としないのがラウンドアバウトの道路構造であり、ドライバーの行動も自然とそうなります。そこに立法と行政が非合理的な「徐行」義務を課すことは、遵法意識、標識や規制への信頼をますます低下させることになります。ただでさえ我が国の道路標識は、諸外国に比べて圧倒的に「あてにならないもの」とされているのは間違いないのに。 


そういえば、「徐行」の標識は設置されることになるのでしょうか?
設置しないのもまたおかしなことになりますが。


今後は、直径が大きく速度域の高い郊外型ラウンドアバウトや、コンパクトで建設コストが抑えられて安全性を高められる、インターチェンジやジャンクションへの活用が是非とも求められます。しかし徐行義務があると、本当の法治国家なら上記の問題が顕著となり難しくなるはずです。



本線の速度が時速80km規制の道路の途中にラウンドアバウトがある場合、手前で時速50km規制があり、干渉することがなければ時速50kmのまま進入し、抜けたら規制解除という流れ。これが本物です。


徐行義務があっては、円滑性が損なわれます。すなわち交通容量が低下するため、主要道路に設置される可能性を減らしてしまいます。

同じ道路構造なのに、国の不合理な規制によって交通容量を低くしてしまうなんて馬鹿げたことはやめてください。