民主党は国民を見殺しにする道路政策を終わらせよ
日本では、料金の高さによる料金抵抗やインターの位置の不便さなどにより、本来は自動車道などの高規格道路を通行できる、いや、すべき経路の交通の多くが、いわゆる下道を選択している。
せっかく莫大な費用を投じて整備した道路を使わない、使えないという馬鹿げたことは、早急に終わらせなくてはならない。
なぜなら、いま存在している高規格道路に転換するだけで、年間に死者にして7.8百人程度減らすことができると試算されているからだ。負傷者では数万から十数万人程度だろうか。これらは、平面交差がなく、横断者がいないことなどにより、高規格道路の死亡事故発生率が、国道の10分の1と安全性が高いことによる。
つまり、逆に言えばわが国の道路交通政策は、それだけの国民を見殺しにしているのだ。
諸外国のように規格の高い道路が一般道と変わらない感覚で使われることの好循環として、あたりまえに整備されていれば、事故に遭わずに済んだ人の数はもっと多かったことも付け加えておこう。
日本では、利権諸々によって、高規格道路をあたりまえに整備し、使えるものとしない道路政策が行われてきた。名神や東名に始まる高速道路という名称が象徴するように、国民側の認識もそれらは特別なものだと思いこみ、思いこまされてきた。
そして、その悪影響は民主党の原則無料化政策にも影を落として政策の実行を困難にしている。
政策の趣旨にあるように地域振興はとても重要だ。しかし道路の問題はそれだけではなく、直接的に人の生命・身体の安全がかかわっていることを民主党は強く認識する必要がある。そしてこれを踏まえて、世論が無料化(抜本的料金改革)賛成になるようにリードしなくてはならない。
この分野に関する民主党の最低限の存在価値は、自動車道を十分に利用できるようにすること、つまり、国民を見殺しにする道路行政を終わらせることにある。
関連して、公共交通機関の影響が問題とされている。上記との違いはこれが生死に直接かかわるものではないということだ。政策を考える上で重要度と優先順位がどちらにあるかは明白だ。
しかし対策はしなくてはならない。そこで、今議論されている環境税を、単なる環境税としてではなく、環境・総合交通税として、地域の足の維持に活用できるようにすればよいだろう。
民主党は政策集INDEX2009で、交通基本法や総合交通体系の確立について言及している。実際に交通基本法検討会で議論が始まっているので、正便益不採算論を踏まえ、数年のうちによい政策が定まることを期待したい。
交通基本法検討会: http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_fr_000040.html