ラウンドアバウトでの我が国特有の運転行動と停止線の未洗練について

日本では、ラウンドアバウトの横断歩道の停止線で無意味に一時停止し、流れを乱して交通容量を低下させる運転者がいる。それはなぜ起こるのか?それに関連する問題について。

無信号十字交差点で、優先道路側の横断歩道手前の停止線で無意味に止まる人はいないが、非優先側では、きちんと止まる人、適当に徐行してもう少し先まで進んで止まる人など様々である。

 一般市民の中には、ラウンドアバウトの構成要素とその意味について明確に理解していない人もいるだろう。

 そのため、ラウンドアバウトの横断歩道の停止線で停止する人は、無信号十字交差点の非優先側の横断歩道手前の停止線や、同じく横断歩道無しの場合の停止線と同等と混同していると思われる。

 なぜこの混同が発生するのか。日本では、一時停止規制のある優先道路との境界など、必ず一時停止が必要な箇所と、横断歩道のように、必ずしも一時停止する必要のない箇所が同一の線で標示されていて線だけで判別できない。

 また、環道走行車両に対する優先関係を表す路面標示の線として、譲れ線(環道外縁の破線)が引かれているが法的根拠は無い。

 それどころか、道交法で「譲れ」が規定されていないため標識も法定の「譲れ」が無い。そのため、停止線のようにその直前で一旦停止する位置を示す意味もある譲れ線として認識されているかも疑問だ。*1

 結果、どの位置で譲ればよいのか不明確であり、その認識に個人差が生じている。横断歩道手前の停止線で停止義務があると認識する人がいるのも不思議ではない。

 また、停止線に止まらないまでも、譲れ線手前できちんと停止してギャップを待つのではなく、手前でだらだらと調整したり停止するなど、諸外国のラウンドアバウトでは見られない行動が見られる。 

 これは、環道のギャップを確認してから環道に入るまでの時間が無駄になり交通容量を低下させるだけでなく、環道走行側の運転手が進入側の譲る意志を明確に確認しづらく、万が一優先権を冒して環道に侵入されてきた場合に回避する判断が遅れるため衝突の危険が増加する。

 ある意味、日本の道交法や道路標識標示基準が未洗練で稚拙な現状で、環道走行中に徐行義務が課されているのは、皮肉にも合理的なのである。しかし、現実には非合理的な徐行義務は無視されているし、今後、幹線国道等でもラウンドアバウトを導入するためにも、譲れ線が確実に機能を果たすように関係法令を改正すべきである。

改正案は次回。

 

 

*1:道交法の言葉を使うと、進行妨害をしてはならない線、となるが、そんな言葉で広報されていない