公平性に欠く都市高速の料金引下げ


高速道路の有効活用・機能強化に関する計画(案)が公表された。


平成20年度の第二次補正予算及び関連法案の成立を前提とした、「生活対策」という名の下に行われる高速道路の料金引下げ政策だ。


この案では、首都高速阪神高速も料金引下げの対象になっているが、名古屋高速などの地方自治体が管理する都市高速は、今回の割引の恩恵を受けられない。これは、公平性という観点から問題があるではないか。


まずは普通車で料金を比較してみよう。


首都高速は日曜祝日、阪神高速では土日祝日で、既存の2割引があるので、通常料金が700円の区間で560円となっているが、今回の料金引下げ500円とだいぶ割安になる。


しかし、名古屋高速では、通常料金が750円と高額な上に、ETC日曜・祝日割引が1割引でしかないので680円と高めだ。そして今回の料金引下げの対象外なのでこのままの料金だ。


 なぜ、首都高速阪神高速だけが対象なのかといえば、道路公団民営化によって創設され、高速道路の債務を一手に引き受けた高速道路保有・債務返済機構に債務を償還している道路会社であるということ。そして一連の値下げは、国が道路会社の減収分の債務を引き継いで負担する。という形を取っているからだ。


そのため、地方自治体が主体となっていて、機構とは無関係な名古屋高速などは対象外になっている。


だがここに問題がある、値下げの財源となる税金は、広く自動車ユーザー全体から徴収したものだ。それにもかかわらず機構が絡む道路だけを値下げするというのは、公平性に欠くのではないか。名古屋高速は、600円にするなど、他の都市高速も値下げの対象とすべきではないのか。


他の都市高速を対象外とする合理的な理由はどこにもない。それにもかかわらず、こうした不公平が生じるのは、首都高速阪神高速は債務償還に関する既存の法律に則っている一方で、地方道路公社では、道路の有効活用のために値下げをして、その減収分を国が負担する制度(法律)が無いからに過ぎない。是非とも必要な制度なので、これを期に創設してもらいたい。


高速道路保有・債務返済機構と各道路会社では、1月25日(日)までパブリックコメントを受け付けているので、割引の対象外になっている道路の利用者は声を上げよう、意見を送ろう。もちろん私も送ります。


国交省:報道発表資料:2009/01/16
高速道路の有効活用・機能強化について

中日本高速道路
高速道路の有効活用・機能強化に関する計画(案)について


ps.本来なら、「値下げ制度の蚊帳」を吊っている国交省に意見する必要があり、蚊帳の中にある機構と各道路会社に意見をしても仕方がないような気もするが、ともかく声を上げることが肝心だ。