歩車分離式信号機よりも大切なこと


風見しんごさんのお嬢さんが、痛ましい交通事故で亡くなられましたが、辛い想いを少しでも共感し道路交通環境を変える力に転換できたらと想い、今日のエントリーをアップします。


今回のような事故の対策として、まず頭に浮かぶのは「歩車分離式信号機」とすることですが、自分が見た幾つかのテレビ番組では、不思議とこの話題が出ていませんでした。その理由はわかりませんが、「歩車分離式信号」でテクノラティブログ検索をして読んだ記事などから感じたことを書きます。


以前読んだことのある、スウェーデンの交通安全化政策「ビジョンゼロ」についての論文か報告に書かれていました(残念ながらソースが見つからないです)。
あちらでは、「すでに子供の教育をあきらめている。」と。


本当の意味は、どれだけ十分な交通安全化教育を施しても、子供だから急に飛び出したりすることもある。だから、教育したからもう大丈夫。これで安心、安全。ではなくて、その先の安全化に真剣に取り組もう。のはずです。


日本では、最低限やるべき事を十分にやっていないのだから。まず、そこをしっかりやる必要があるのに、それをすっ飛ばして、教育をあきらめて、ITSなどに頼ろうというような内容でした。記憶違いでなければ。

ビジョンゼロとは
「なん人も道路交通システムにおいて死亡したり、重傷を負ったりしない」ことを目指す政策 
参考リンク 
世界一安全な道路交通の実現を目指すキックオフミーティング
Spotflexにページでの紹介 http://www.spotflex.co.jp/news/02.html


日本でも、最低限の事をまずやろうではありませんか。

その一つ、教育についてです。

「青信号で横断歩道を渡る」
「道路を渡る時は手を挙げて渡る」
「道路を歩く時は右側を歩く」
小さい子に教える最初の交通ルールのように思います。
しかしながら現実にはそれを守っていても被害者になってしまう事例のいかに多いことか。

子どもがそれをきちんと守っていても、彼らを守るべき大人が自分勝手な運転をしていたら何もならない。


子供からすれば、どうして?って思うでしょうね。

kazz1125さんのブログ 旅の始まりはこれからのエントリー痛ましい事故の残したものから


その教育では、本当に「どうして?」と想うでしょう。

なぜなら、教えるべきことの中から、最も肝心なことが抜けているからです。

それはもちろん、自分の目で他の交通をしっかり確認すること。です。


関連エントリーもご覧下さい。
車が見えない。いや違う、見ていないんだ
http://d.hatena.ne.jp/michinaoshi/20060421#1145637650
こんな交通教育なら、しない方がマシだ
http://d.hatena.ne.jp/michinaoshi/20060328#1143511662

報道ではノーブレーキだったと聞きますので、完全死角に入ったのでしょうか。
トラックが曲がる際、ピラーとかミラーが斜め前方の死角になるケースが多いです。
で、相手が静止していれば、じき視界内に対象が現れますが、こっちが動いて相手も動いていたら、果てしなく死角に塞がれ続ける事もある・・

Birth of Blues さんのエントリー


こういうことがあるので、死角について教えることはもちろん必要です。
でも、もっと簡単に、周りをよく見ることさえ教えれば、多くの場合、単純に危険を察知することができるのです。


規則で縛られずに行動することを美徳とする日本人が、

なぜ、規則がどうこうということではなく、

最も肝心要の、自分で確認するということを怠ってしまうのか。

kazz1125さんが挙げているのが「交通ルール」だから触れられていないのでしょうか。

違います。

物事の本質をつかめていないのです。
このようなことは日本で普遍的にみられることであり、まさに日本人の問題なのです。

個人を批判するつもりで書いているのではないことを強く断っておきます。



もう一つの最低限、保護者が付き添って通学する。ということも大切です。

親が無理なら、送り迎えするボランティアのための退職者の組織を地域で作ればよいのではないでしょうか。それが日本で一般的になれば、子供の交通事故(少なくとも通学では)の抑制になるだけでなく、犯罪の抑制にもなる。さらに、世代間交流の促進というすてきなおまけまで付いてきます。


<徐行義務> 道路構造と交通規則の不整合も事故の要因


もう一つの気になる要因があります。

道交法では、交差点で右左折する時には徐行義務がありますが、あなたが運転する人だったら必ず守っていますか?

規模が大きくて十分に見通しが効く交差点でも、横断歩道橋が設置されていて、横断歩道や自転車横断帯が無い交差点でも、すべて交差点で徐行義務があります。

交差点の状況に応じて、徐行義務のありなしが定められた規則に変えることが必要です。

そして、狭い、歩行者がある、などの条件に当てはまる交差点では、必ず徐行するというメリハリ(日本の道路に欠けていることです)を付けるのです。


もしかすると、信号の変わり目での強行進入が原因だったのかもしれません。もしそうであれば、運転者の信号無視という罪はまぬがれませんが。そうでないなら、今回の事故は、彼自身の責任というより、このまっとうでない道路交通環境を容認している国民全ての責任ととらえるべきでではないでしょうか。