車が見えない。いや違う、見ていないんだ。前編


NHK名古屋制作で中部7県で放送される、ナビゲーションという番組の今回の話題から。

   ナビゲーション 車が見えない 〜高齢歩行者の事故は防げるか〜

石川県の交通事故死者の4割が高齢者。うち半数が歩行中の事故です。石川県警が行ったアンケートでは、事故にあった高齢者の74%が道路横断時、車を確認できていないことが明らかになりました。視野が加齢に伴って狭くなっていることが原因とされます。事故防止に向けた石川県の取り組みを紹介します。


番組の中では、巨大なスクリーンを使った、コンピュータグラフィック(CG)の横断シミュレーション(運転シミュレーションの様なもの)で、高齢者に信号のない横断歩道を渡ってもらう実験の様子がありました。それを見て思ったことがまず1つ、どの車両も横断歩道を渡ろうとしている高齢者の目前を通り過ぎていくだけで停止しないことの異常さです。


これと同時に、横断者が渡る前に左右をどのくらい見ているかを調べる装置も使っていて、そのデータを見ると、右方向は手前の車線なので危険を感じやすいらしく、比較的見ているのですが、左は短い時間しか確認しないまま渡りだしてしまうことが明らかになっていました。そしてその実験映像では、被験者のおばあさんは左から来たトラックにはねられてしまいました。


実際にこういった事故は起こっているわけで、実にリアルなシミュレーションだといえばそれまでなのですが、ここから導き出される事故対策が、加齢に伴って視野角が狭くなることを認識してもらって、よく見るように指導すること。で終わってしまうことは問題です。


なぜなら、法律上、車両の運転者には歩行者を優先的に横断させる義務があるのに、今回の取り組みは、実態はむしろ止まることが稀なこの異常状態には無関心で、横断する高齢者側だけに解決の糸口を探っているからです。番組の中でも、横断歩行者の優先については全く触れられませんでした。いくら今回の番組のテーマが高齢者側の対策だとしても、一言くらいあってよいと思いませんか。


これでは、6日のエントリーで書いた、車両の運転者が誰1人止まろうとしないことを前提とした、チ法国家の交通教育を、子どもや若者だけでなくて高齢者に対しても同じようにし続けなくてはならないのです。しかも、向かってくる車両が見あたらないことを本当に良く確かめて渡るように強いるかたちで。
 

さらに、道路構造改革で直して行くべき三要素の1つ、「道路利用者の意識と行動」に注目して少し書きたいのですが、遅くなったので明日にします。


今日取り上げた番組は、日曜日の朝、再放送があります。


ナビゲーション (番組のページ)
日曜日 総合 午前8:00〜8:25 (中部7県向け)

車が見えない 〜高齢歩行者の事故は防げるか〜

続いて、もう一つ別の番組の紹介です。

“全線建設”はこうして決まった (番組のページ)

道路公団民営化・半年の攻防〜
総合テレビ 4月23日(日)午後9時〜9時49分


こちらに関してもできるだけ早く記事を掲載していきたいとおもいます。